布にはどんな種類があるの?生地の特徴を素材別・織り方別に分けて紹介

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布の種類ってどんなものがあるの?

作りたいものはあるけど、どんな生地を選べばいいのかわからない…

このような疑問を持つ方に、生地(布)の種類と特徴を素材別織り方別に紹介します。

また、季節ごとにおすすめの生地を紹介しようと思います。

生地(布)の特徴(素材別)

ここでは、生地(布)の原料となる繊維の素材別に紹介します。

生地(布)の原料は主に天然繊維と化学繊維に大きく分類されます。

天然繊維

天然繊維は、その名の通り自然界に繊維として存在している物の事で、植物繊維と動物繊維に分類されます。

植物繊維
  • 綿(コットン) 
  • 麻(リネン) 
動物繊維
  • 絹(シルク)
  • 羊毛(ウール)
  • カシミヤ
  • アルパカ
  • アンゴラ

上記の様に天然繊維だけでも多くあるので、ここでは、綿・麻・絹・羊毛の4つについて詳しく説明していきます。

綿(コットン)

綿(コットン)とは、アオイ目アオイ科ワタ属に属する多年草『綿(ワタ)』の『種子毛』からとれる繊維のことです。

私たち人間は、綿の繊維をそのまま使用したり、糸や布に加工して幅広く利用しています。

綿の良いところとしては、吸湿性があり、熱にも強い素材です。そのような特徴から、下着やタオル、衣類、ハンカチなど幅広い製品に使われています。

しかし、綿の生地はシワになりやすく収縮しやすいという悪いところもあります。

なので、綿100%の生地はアイロンがけや水通しが必要になってきます。

ちなみに、綿とコットンの違いですが、特に違いはありません。綿を英語読みすると『cotton(コットン)』となります。

麻(リネン)

麻とは、植物の茎や幹・葉脈から取れる繊維の総称として『麻』という言葉が使用されています。

代表的なものは、大麻(たいま・ヘンプ)・亜麻(あま・リネン)・苧麻(ちょま・ラミー)・黄麻(おうま・ジュート)などがあります。

日本では、綿の普及が江戸時代初期ごろからであったため、それ以前は衣類など、日用の布製品の多くは麻で作られていました。

現在、日本の繊維製品で『麻』と表示できるのは、亜麻(あま・リネン)と苧麻(ちょま・ラミー)の2種類と法律で定められています。

ここでは、麻の中でも生地(布)としてよく見るリネンの特徴を紹介します。

リネンの特徴として、しっかりした繊維で出来ているため、丈夫で水に濡れると一層強さが増し、長持ちします。

また、通気性が良くとても清涼感があります。しかし、とてもシワが付きやすいのが特徴です。

絹(シルク)

絹とは、蚕(かいこ)という蛾の幼虫が成虫になる過程で糸を吐き、繭を作るのですが、その繭から繊維を取ったものです。

蛾の幼虫から取ったものなので、動物繊維に分類されます。

絹とシルクの違いは特になく、絹の英語読みが『silk・シルク』となっています。

絹の特徴として、他の繊維では出すことができない独特な光沢があります。また、保温性・保湿性に優れていて、とても肌触りがよい生地となっています。

しかし、日光で変色や劣化しやすく、虫害に合いやすい生地でもあるので、管理に注意が必要です。

羊毛(ウール)

ウールとは、主に羊の毛を素材にしたものの事を指します。

厳密に言うと、他の動物(カシミヤ・アルパカ・アンゴラなど)の毛もウールに含まれるのですが、羊以外の毛の場合はそれぞれの名で表記されることが多いので、ウールと表記されている物はほとんどが羊毛です。

ウールの特徴としては、軽くて手触りが良く、保温性が高いです。また、弾力があり、シワになりにくく、水をはじきやすいという特徴があります。

しかし、摩擦に弱いため毛玉になりやすく、縮みやすいところがあり、虫害に合いやすいので注意が必要です。

化学繊維

化学繊維とは、主原料が石油や人工的に作られた高分子からできたものになります。

化学繊維には、合成繊維・半合成繊維・再生繊維の3種類に分けられます。

合成繊維
  • アクリル
  • ポリエステル
  • ナイロン
  • ポリウレタン
半合成繊維(セルロース(植物由来)やタンパク質(動物由来)の天然の原料を化学的に改良した繊維のこと)
  • アセテート
  • トリアセテート
  • プロミックス
再生繊維
  • レーヨン
  • キュプラ
  • ポリノジック

アクリル

アクリルとは、石油から取れる「アクリロニトリル」を原料とする合成繊維です。

アクリルは、ウールに近い風合いを持っており、主にセーターに使用されることが多いです。

アクリルはこの後に紹介するポリエステル・ナイロンと並んで『3大合成繊維』のひとつとされています。

特徴として、ふっくらと柔らかく、弾力もあるためシワになりにくいです。

しかし、ウールに近い風合いはありますが、ウールと違って吸水性が低く、汗をかくとべたつきます。

また、毛玉になりやすく、静電気も起こりやすいという特徴があります。

ポリエステル

ポリエステルとは、石油から合成された繊維で、『ポリエチレンテレフタレート』というものが使用されています。

この、ポリエチレンテレフタレートの頭文字をとって『PET』と略されており、ポリエステルとペットボトルは同じ原料から作られています。

ポリエステルの特徴としては、とにかく丈夫ということです。シワになりにくい特徴があり、吸水性が弱いので速乾性があります。

また、毛玉ができやすく、静電気も起こりやすいことと、耐火性が低いので、誤って火がついてしまうと溶けてしまうという特徴があります。

ナイロン

ナイロンとは、石油を原料とする『ポリアミド』と呼ばれる合成樹脂から作られた繊維です。

女性用のストッキングに使用されたのが始まりで、世界中に広まりました。

ナイロンの特徴としては、摩擦に強く軽いことと、耐久性が高いという特徴があります。また、ポリエステルより伸縮性があります。

しかし、熱に弱く、吸湿性が低いという特徴もあります。

アセテート

アセテートとは、半合成繊維と言われていて、セルロース(植物由来)やタンパク質(動物由来)の天然の原料を化学的に改良した繊維です。

アセテートとは、木材パルプを主な原料としたセルロースに酢酸を結合させて作られています。

アセテートの特徴として、絹(シルク)よりも光沢があり、吸湿性が高いのが特徴です。また、撥水性が高いので水を弾きます。

しかし、熱や摩擦に弱く、シワがつきやすいという特徴があります。

シワがつきやすい特徴を生かしてあえてプリーツ加工した生地もあります。

レーヨン

レーヨンとは、再生繊維のひとつで木材パルプから取れる植物原料に薬品加工をして作られています。

レーヨンは、ポリエステル・ナイロンなどの石油から作られる「合成繊維」とは違い、加工処理をすれば自然に帰すことが出来るので、環境にやさしい素材です。

レーヨンの特徴として、光沢があり肌触りが良いです。また、通気性と吸湿性に優れていて、染めやすいという特徴があります。

しかし、水に弱く縮みやすいということと、熱に弱くシワになりやすいという特徴もあります。

生地の特徴(織り方別)

生地(布)の織り方には、平織り・綾織り・繻子織りの3つの種類があります。

ここでは、それぞれの織り方別で生地の特徴を紹介します。

平織り

平織りとは、縦糸と横糸が1本ずつ交互に交差した織物の事で、衣服によく使われています。

平織りの特徴として、糸と糸の交わる点(組織点)が多いことから、摩擦に強く繰り返しの選択にも強いのが特徴です。

平織りの生地
  • シーチング
  • ブロード
  • オックスフォード
  • ローン
  • 帆布
  • ガーゼ
  • キャンバス
  • ちりめん

上記の様に様々な種類がありますが、手芸店などでよく目にするシーチング・ブロード・オックスフォード・ローンの4つについて紹介します。

シーチング

シーチングとは、太めの糸で粗めに平織りで織られている生地で、とても扱いやすく裁断や縫製しやすい生地です。

また、厚くなく生地目が粗いので、重ねても縫いやすいという特徴があります。

基本的な生地なので、柄や色のバリエーションが豊富で、基本的には綿100%のものが主流ですが、綿と麻を混ぜた生地やリネン100%の生地など使用されている素材のバリエーションも豊富です。

初心者の方には、縫いやすいためおすすめの生地です。

ブロード

ブロード生地は、目の詰まった平織りの生地です。織り方は、シーチングと同じですが、目がとても細かくて密度が高く織られています。

もともとは、羊毛(ウール)を使った織物でしたが、現在は綿を使ったブロードが主流になっています。

ブロード生地は、密度が高く織られていますが、細い糸(80番手以上)を使用して織られているので、薄手の生地になります。

薄手の生地ですが、密度が高いため張りがあり、透けないという特徴があるので、シャツやブラウスなどによく用いられます。

※糸の太さは、数字が大きくなるほど細くなります。

オックスフォード

オックスフォードとは、縦糸と横糸を2本ずつ引き揃えた平織りの生地のことです。

名前は『オックスフォード大学』にちなんでつけられたとも言われています。

厚みのあるしっかりとした生地で、シワがつきにくく、通気性が高い特徴があります。

使われている素材は綿100%で作られていることが多いです。

ローン

ローン生地とは、綿で作られた薄い平織りの生地です。

粗く織られているため、透け感があり、吸湿性も高い上に、すぐに乾くのでサラッとしているのが特徴です。

汗をかいても貼りつかずに着られるため、春夏の洋服づくりに最適です。

素材は、綿が主流ですが、リネンや化学繊維のものもあり、質感がそれぞれ違います。

ローン生地の厚さを表すときに、60番手・80番手と表されます。これは、織られている糸の太さの違いで、数字が大きい程、薄手の生地となっています。

60ローン→厚手・80ローン→薄手という感じです!

また、ローン生地で有名なのが『リバティ』の生地です。

『リバティのタナローン生地』は70~80番手のの糸と100番手の糸を使用し、平織りで織りあげた生地です。密度が高く、しなやかで柔らかな肌触りが特徴です。

綾織り

綾織りとは、縦糸が横糸2本または3本以上を浮かせ、1本をくぐらせる織り方のことです。

縦糸と横糸の交差の仕方で呼び方が変わり、『三つ綾』『四つ綾』などの種類があります。

綾織りの生地は、平織りと比べると組織点が少ないため、やや摩擦に弱いですが、光沢があり柔軟性やシワのつきにくさがあることが特徴です。

綾織の生地として有名なのが、ツイル生地です。ツイルとは、英語で綾織りのことを言います。

綾織の生地
  • デニム
  • チノクロス
  • サージ
  • ギャバジン
  • サキソニー
  • フランス綾

上記の様にツイルには、様々な種類があります。ここでは、デニム・チノクロスについて紹介します。

デニム

デニムとは、インディゴ染料で染めた縦糸を染色していない白い横糸を使用した厚みのある綾織りで織った生地のことです。

デニム生地の厚さはオンスという重さで区別されており、オンスの数字を大きい程、生地が厚くなってきます。

ちなみに、家庭用ミシンでは10オンスくらいまでのデニム生地を縫えるみたいです。

しかし、実際に自分がデニム生地を扱った際は8オンスでも結構厚みが出てしまい縫うのが大変でした。

チノクロス

チノクロスとは、主に綿の太い糸で編まれた厚手の綾織りの生地です。

元々は、軍服に使用されていた生地で、『チノ』とも呼ばれ、この生地を使ったパンツ『チノパン』が有名です。

特徴としては、織り方にもよるのですが、厚手でしっかりとした丈夫な生地なので、作業服などに向いています。

繻子(朱子)織り

繻子(しゅす)織りとは、縦糸と横糸の交差する点をなるべく目立たないようにして、織物の表面に縦糸または横糸を長く浮かせた織り方です。

平織りや綾織りと比べて組織点が非常に少なくて摩擦に弱いという特徴があります。また、最もなめらかな手触りで、強い光沢を持っています。

繻子織り生地
  • サテン
  • ベネシャン
  • ドスキン

ここでは、サテンについて紹介します。

サテン

サテンとは、繻子織りのことを指します。

英語では絹で織った繻子織物(朱子織物)を「サテン(satin)」、コットンまたはウールで織った繻子織物(朱子織物)を「サティーン(sateen)と区別して呼ばれているそうです。

華やかで高級感のある生地のため、フォーマルウェアやパーティー用のドレスやブラウスなどに使用されることが多いです。

しかし、摩擦に弱く引っ掛かりやすいので注意が必要です。

まとめ

ここまで、さまざまな生地を素材別・織り方別で分類して、それぞれの特徴を紹介してきました。

素材ごとに保温性や吸湿性などの違いがあり、また、織り方によっても見た目や肌触りなどが変わってきます。

この記事では、それぞれの素材や織り方を少し細かく説明しましたがまずはご自身で触ってみて感じてもらうのが良いと思います。

同じ綿を使った生地でも、厚さや張り、手触りが異なっているので、手芸店などで生地を購入する際などには、どんな生地で素材は何かなども気にしてみてみると面白いかもしれません。

ここまで、ご覧いただきありがとうございました。

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